OpenAI、Dataエージェントとウォール街版ChatGPTを同じ日に投入
OpenAIが同じ木曜日に、ChatGPT Work向けDataエージェントと、Morgan Stanley・Evercoreと共同開発したChatGPT for Financial Servicesを公開した。
OpenAIは同じ木曜日に企業向け製品を2つ同時に投入しました。2つを並べて見ると、同社の戦略が単独で見るよりもはるかに鮮明になります。一方は水平型で、社内のデータウェアハウスに問いかけるだけで対話からダッシュボードを組み立てるChatGPT WorkのDataエージェントです。もう一方は垂直型で、Morgan StanleyとEvercoreと共同開発した特化版ChatGPT for Financial Services。ジュニアの投資銀行員が何十年も担ってきたリサーチとピッチブック作成を真正面から狙います。
要点
- DataエージェントはSnowflake、Databricks、BigQuery、Redshift、ClickHouse、MongoDB、Datadogに接続し、利用者が既に持つテーブル・行・列単位の権限をそのまま適用します。
- ChatGPT for Financial ServicesはGPT-6 Astraに、LSEG、Daloopa、PitchBookのライセンスデータを組み合わせています。OpenAI自身がこれらを索引化して自社でホストするため、数値単位で出典をたどれます。
- OpenAIの最高財務責任者は8月、投資家に対して企業向け売上が消費者向けを上回ったと説明しました。製品担当VPのNick Turley氏は、他業種向けの特化版も準備中だと述べています。
Dataエージェントの何が違うのか
この製品がなくそうとしているのは順番待ちです。主要顧客で更新契約がなぜ落ち込んだのか、どの費目で支出が伸びているのか——こうした問いは通常、分析チームにチケットを出して待つしかありません。Dataエージェントは同じ対話の中で答えを返します。利用者がSQLを書く必要も、別のBIツールを覚える必要もありません。
これをデモ止まりにしないのが文脈の扱いです。ウェアハウスにつないだだけの汎用エージェントは、その企業が言う「アクティブユーザー」が何を指すのか、繰延収益をどう計上しているのかを知りません。OpenAIの答えは、企業が既に運用しているセマンティックレイヤーからその定義を読み取ることでした。dbt、Databricks Genie Ontology、Snowflake Horizon、GitHub、あるいはBIダッシュボードそのものが対象になります。ChatGPTのために定義を書き直す作業は誰にも求めません。
ガバナンスも同じく継承で動きます。管理者がどの接続を用意し、誰が触れるかを制御し、そこから先はエージェントが接続アカウントの資格で実行されます。テーブル・行・列単位の制限がそのまま効くため、権限体系をもう一つ抱え込む必要がありません。
出力は同僚が自分で編集・更新できる対話型ダッシュボードとして届きます。ブランドガイドラインを渡しておけば、チャットボットの雑な宿題のような見た目にもなりません。特定のBIベンダーで標準化済みのチームなら、Omni、Oracle BI、Power BI、Sigma、Tableau、ThoughtSpotの中でエージェントがダッシュボードを操作します。
なぜ垂直展開の第一歩がウォール街だったのか
ChatGPT for Financial Servicesが載るのは、同社の最新かつ最も高価なモデルGPT-6 Astraです。差別化の軸は内蔵データにあります。LSEG、Daloopa、PitchBookの財務諸表、決算説明の書き起こし、未公開市場の記録を、問い合わせのたびに外部から取りに行くのではなく、OpenAIが事前に索引化してホストします。顧客が既に契約している情報サービスへも自動で接続します。
Turley氏は記者団に対し、目標はChatGPTにアナリストのように調べ、アナリストのように根拠を示すことを教えることだと語りました。実演では買収候補企業を分析させ、比較対象企業の株価をスプレッドシートに取り込み、銀行の書式に沿った資料まで作らせています。難所についての整理は的を射ていました。見栄えのよいスライドを作るのは簡単だが、筋の通ったスライドを作るのは簡単ではない、というわけです。
数値を元の開示資料までたどれる細かな出典表示と、機密性の高い案件資料向けの管理機能。この2点が、汎用のOpenAI企業向けツールとの分かれ目です。当面の狙いは投資銀行部門と株式リサーチ部門で、契約した銀行名についてTurley氏は明言を避けました。
誰も答えなかった徒弟制の問い
CNBCから、この製品はジュニアバンカーの採用需要を減らすのかと問われたTurley氏は、スプレッドシートの例えを持ち出しました。アナリストは既に週100時間働いており、この技術はかつてExcelがそうしたように従業員1人あたりの産出量を押し上げる、という説明です。
この回答は業界内の本当の懸念をかわしています。先月、Goldman Sachsで同行の看板AIプロジェクトを率いるパートナーが、ジュニアバンカーを鍛える業務を自動化すれば次世代の思考力が衰えかねないと警告しました。論を組み立てる力は地道な作業を自分で手がけて身につくものであり、他人の成果物を点検して身につくものではないからです。
今後の展開
OpenAIは企業市場のシェアをめぐってAnthropic、Googleと競っています。Anthropicも昨年Claude for Financial Servicesを投入しました。競争の背景には資金の話もあります。企業向け売上が消費者向けを上回り、株式公開が広く見込まれる局面では、業種特化版は消費者向け機能をもう一つ出すよりも整った成長ストーリーになります。Turley氏は、他の複数分野に向けた特化ソリューションも計画していると述べました。
FAQ
Dataエージェントを使うにはデータを移す必要がありますか
その必要はありません。前述のウェアハウスや監視データの保管先はそのままで構いません。エージェントはコネクタ経由でデータを読み取り、問い合わせるアカウントが既に持つ権限をそのまま引き継ぎます。Google DriveやSharePointのような文書保管先も同じ分析にまとめられます。
ChatGPT for Financial Servicesに市場データは含まれますか
含まれます。ライセンスの形が特徴的で、OpenAIは問い合わせごとにベンダーを呼び出すのではなく、プレミアムのデータフィードを自社インフラ上に置いています。数値単位の出典表示が可能なのはそのためです。顧客が従来契約してきたサービスも併せて利用できます。
金融サービス版は誰向けの製品ですか
まずは投資銀行と株式リサーチのデスクが対象です。開発段階ではセルサイドのデザインパートナー2社が方向性を固めました。実際にどの金融機関が導入したかをOpenAIは公表していません。
ZZEMが運営するAI Newswayの編集責任者です。AI、開発ツール、クラウド、生産性テクノロジーの記事を執筆しています。
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