アップルが2年にわたって約束してきたアシスタントが、今週ようやく世に出ました。ただし言語は一つだけ、ベータの札を付けたままです。Siri AIは月曜に公開されたiOS 27・iPadOS 27・macOS 27の目玉機能ですが、現時点で理解するのは英語のみ。フランス語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語の5言語は10月に予定されています。アップルのリリース発表に並ぶ他の機能はいずれも完成形で届きました。最も前面に押し出した機能だけが暫定版です。
要点
- Siri AIは英語限定のベータとして提供が始まり、フランス語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語は10月に加わります。
- アップルはアプリ起動が最大30パーセント高速化、撮影直後の写真読み込みが最大70パーセント高速化、AirDropが最大80パーセント高速化と示しています。
- Image Playgroundはフォトリアルな生成に対応し、生成メタデータを埋め込むほか、SynthIDによる来歴表示も予告されました。
アップルがSiriに賭けたもの
再設計を支えるのは4つの能力です。個人的な文脈の把握、世界知識、画面の認識、そして複数アプリをまたぐ実行。実際の姿はこうなります。ユーザーがうろ覚えの何かを自分のメッセージやメール、写真から掘り出し、いま画面に映っているものについて答え、最新の情報が要るときはウェブへ出ていきます。
面白いのはカメラです。iPhoneをレストランの伝票に向ければ、Siriモードが金額を割り勘にしてApple Cashで友人に送金します。チケットに向ければWalletにパスを入れてくれます。Vision Proでは同じ発想が現実の部屋に持ち込まれ、装着者は周囲を見ながら尋ねるだけで検索し、操作できます。
単体のSiriアプリがこれを締めくくります。iCloud経由で会話履歴を端末間で同期するため、iPhoneで始めたやりとりをMacで続けられます。Write with Siriは、平易な言葉で説明すれば下書きと推敲を引き受けます。
Apple Intelligenceと同時に届いたもの
今回、すぐに役立つ改良が最も集まったのはSafariでした。
- 開いているタブがトピックごとに自動でまとまります。
- 再入荷や値下げといったページの変化を見張り、動きがあれば通知します。
- 文章で説明すれば、独自の機能拡張を生成できます。
写真アプリには空間リフレーミングと拡張、作り直されたクリーンアップが入りました。通話コンテキストは、店舗に電話をかけた瞬間に確認コードや予約番号を画面前面へ引き上げます。より重い変更はImage Playgroundです。アップルがあえて様式化された絵に限定してきたツールが、フォトリアルな結果を出せるようになりました。加えてモデルが作った部分を示すメタデータを埋め込み、SynthIDによる生成AIの来歴表示も約束しています。
静かに作り直されたのはペアレンタルコントロール
話題にはなりにくいものの、中身はより充実しています。子ども用アカウントは設定の流れの中で年齢に応じた保護機能をすぐに有効にします。保護者は後から制限するのではなく、許可するアプリを自分で選びます。Ask to Browseは新しいサイトへのアクセスを保護者の承認の後ろに置きます。コミュニケーションの安全性は裸体の検出にとどまらず、共有された画像や動画の流血・暴力描写まで検知して介入するよう広がりました。
スクリーンタイムはエンターテインメント、ゲーム、ソーシャルメディアといったカテゴリー別の利用枠を軸に組み直されました。アップルは臨床と児童発達の専門家と設計したと説明しています。スケジュール機能が、どの時間帯に何を開けるかを決めます。
性能の数字と、そこに付いた但し書き
今回のアップルは形容詞ではなく数字を出しています。
- iPhoneとiPadでアプリ起動が最大30パーセント速くなります。
- 撮影した写真の読み込みが最大70パーセント速くなります。
- AirDropの転送が最大80パーセント速くなります。
- iPadで外付けUSBドライブへファイルを移す速度は最大5倍になります。
地味な接続まわりの改善2点が、聞こえ以上に効きます。セルラーとWi-Fiの切り替えが滑らかになり、電波の弱い場所でメッセージに大きな写真を送ったとき、後ろに並んだテキストまで止まる現象がなくなりました。基調講演のスライドに収まらないため何年も生き延びる類の煩わしさです。
並んだ数字はどれも「最大」付きの値で、Siriのベータ表記も似た働きをしています。アップルはまだ調整中のAIアシスタントを単一言語で世に出しました。この作り直しが英語圏の外のユーザーと接しても持ちこたえるかは、10月が最初の試験台です。アップルの折りたたみ機が舞台に立ったとき指摘したとおり、ニューラルエンジンが静かに予算を持っていったハードウェア周期の直後に出たソフトウェアでもあります。アップルはいま、その支出が報われたと示さねばなりません。
よくある質問
Siri AIはすべての言語で使えますか
いいえ。まず英語のベータとして提供されています。アップルは10月にフランス語、日本語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語を追加すると表明しており、その5言語より先の日程は公表していません。
Siri AIはどの端末で使えますか
アップルはiPhone、iPad、Mac、Apple Watch、Vision Proにまたがって統合したと説明しています。ただし個々の機能は端末に紐づきます。SiriモードはiPhoneのカメラアプリにあり、Vision ProはVisual Intelligenceを装着者の周囲の空間に適用します。
Image Playgroundで作られた画像は見分けられますか
アップルは自社ツールが生成・編集した画像にメタデータを付与し、SynthID対応も準備中だと述べています。目視ではなく来歴データでAI生成画像を識別させる狙いです。このツールがフォトリアルな出力を始めたいま、その仕組みの重みは増しています。






