Googleは水曜日、Gemini 4 Argonを公開した。最初に手にするのは開発者や一般利用者ではなく、サイバーセキュリティのガードレールを切った状態でモデルを動かす非公開のセキュリティ研究者グループである。Googleはこのモデルを、素早く答える用途ではなく長時間走り続ける用途のためのフロンティアモデルとして位置づけている。
提供はGoogleのセキュリティ施策であるFairwind Programを通じて行われる。参加者は有料API顧客やGoogle AI Ultraの契約者より先にモデルを受け取り、開発者・企業・一般利用者が最後になる。Google DeepMindのSVP兼チーフAIアーキテクトであるKoray Kavukcuogluは、提供範囲を広げる間、米政府によるリリース前モデルアクセスの自主的プロセスに参加すると述べた。
記事の要点
- Argonの出力上限は従来モデルの6万4000トークンから100万トークンへ拡大した。Googleはこれを、難しい問題を一度で片づけるための余裕だと説明する。
- GoogleはDeepSWE v1.1でArgonが77.9%を記録し、Claude Opus 5.5の74.2%、GPT-6 Astraの74.1%を上回ったとしている。ZapierのAutomationBenchでは51.3%で首位だ。
- 信頼されたサイバー防御者とGoogle社内チームはサイバーガードレールなしのArgonを使う。それ以外の顧客は制限付きビルドを待つことになる。
出力上限が看板スペックである理由
Googleが前面に出した数字は、100万トークンという出力上限である。従来モデルの6万4000トークンから約15倍の跳躍だ。Googleの論理は、推論の深さは停止までに書ける量で決まるというものであり、これだけの余裕があれば、受け渡しを繰り返していた作業を一本の長い軌跡で置き換えられるという主張である。
その主張を支える証拠は、外部の評価機関ではなくGoogle社内から出ている。ある事例では、Argonエージェントの群れがGoogleのデータセンター全体からプロファイリングのテレメトリーを読み取り、メモリー修正を自力で反映した。Googleはこの作業で、展開時点で300TiB超、最終的には500TiBから1PiBの範囲を回収できると見込む。
二つ目の適用事例のほうが示唆に富む。エンジニアが通常は自動化を拒むたぐいの作業だからだ。Argonのエージェントは、re2のような小さなライブラリから80万行を超えるFuchsia Zirconカーネルまで、GoogleのCおよびC++をRustへ移植している。動画デコーダーlibgav1では、手作業で詰めたSIMDコード3万2000行を捨て、素直な安全Rustをコンパイラーにベクトル化させた。Googleはその結果を、従来のRust移植版より2.7倍速く、出力される映像はバイト単位で同一だとしている。
サイバー優先の提供が何のためなのか
Argonは防御的なセキュリティ業務を狙って学習されており、Googleが掲げる絵は人間を介さない一連のループである。モデルが重大な脆弱性を見つけ、実在することを確認し、パッチまで書くというものだ。Fairwindの参加者と社内チームでサイバーガードレールを外した理由はここにある。攻撃手法について考えることを拒むモデルは、穴を埋めることもできない。
初期の現場成果も一つある。セキュリティ企業Wizが運営する無償のインフラ強化プログラムScan for Goodを通じて、Argonが世界中に展開された病院向けソフトウェアで個人データの深刻な露出を見つけ出したと伝えられている。Googleは、過去のフロンティアモデルが見過ごしてきた問題だと説明する。ただしCWE-bench v1での修復スコア68%は明確な首位ではなく同率トップだ。
AstraとOpus 5.5との比較
Googleのベンチマーク論拠は長時間タスクに寄りかかっている。DeepSWE v1.1で77.9%という新記録だと主張し、9to5Googleはこの数字がClaude Opus 5.5の74.2%とGPT-6 Astraの74.1%を上回ると伝えた。Googleはさらに、金融・コーディング・法務・税務の作業を米国GDP比で重みづけするVals IndexでもArgonが首位であり、ZapierのAutomationBenchで51.3%の1位、長尺動画の評価LVBenchで91.7%に達したとしている。いずれもGoogleが公開発表に自ら載せた自社計測値である。
Googleがまだ固めていると認めた領域
Googleが挙げた四つの領域は、二つの戦略にきれいに分かれる。二つは拒否に関するものだ。正当なデュアルユース研究を止めずにサイバーとCBRNの悪用を遮断すること、そして間接プロンプトインジェクションに耐えることである。Googleはこの攻撃類型を扱うGray Swanのベンチマークで自社が先行していると主張する。残る二つは、拒否がいずれ破られる前提に立つ。監視機構がArgonの思考過程を読み、モデルが要求の範囲を外れた時点で実行を止める。そして高リスクな学習を始める前にサンドボックスを封じる。
この節に、今回の公開で最も興味深い告白が埋まっている。Googleは、ミスアライメントの発見事例を意図的に学習ループへ入れないと述べた。それを学習させれば、Argonが自分を見張る監視機構から隠れる術を覚えてしまうからだ。Googleは同じ理由で、競合他社にもモデルの推論を読める状態に保つよう求めた。
今後の見通し
タイミングは意味深だ。ArgonはOpenAIのDevDayの翌日に登場した。OpenAIはその場でDotsエージェントとGPT-6.1 Solモデルを投入し、少し前には安全性への懸念から予定していたGPT-6.1 Astraを公開しないと述べていた。今回の公開は、Kavukcuoglu氏が8月にDeepMindを率いて以降に掲げた約束を果たすものでもある。当時彼はGemini 4は詰めの段階にあり、磨き上げるより早く出すと語っていた。導入価格は入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドルで、のちに4ドルと20ドルへ上がる。
FAQ — よくある質問
Gemini 4 Argonは今日から使えるのか
GoogleのFairwind Programの参加者か信頼されたテスターでなければ使えない。Googleが示した提供順は、まずサイバー防御者、次に有料API顧客とGoogle AI Ultraの契約者、最後に開発者・企業・一般利用者である。
「サイバーガードレールなし」での公開とは何を意味するのか
Googleは信頼された防御者と社内チームに、モデルの攻撃的なセキュリティ推論を制限しないビルドを渡す。脆弱性発見の能力を余さず使えるようにするためだ。それ以外の利用者には、その制限が入ったバージョンが届く。
Gemini 4 Argonの価格はいくらか
導入価格は入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドルで、キャッシュされた入力トークンは95%割引となる。導入期間が終わると、入力100万トークンあたり4ドル、出力100万トークンあたり20ドルになる。






