アカマイ、AI推論とエージェント用サンドボックスを公開
米アカマイは10月27日、AIモデル提供サービス「Akamai Inference」とエージェント実行環境「Akamai Agent Sandbox」をベータ版で公開した。同社のAIインフラは総額140億ドル超の複数年契約を獲得したという。
コンテンツ配信網(CDN)大手の米アカマイ・テクノロジーズは10月27日(現地時間)、AIモデル提供サービス「Akamai Inference」と、AIエージェント向け実行環境「Akamai Agent Sandbox」をベータ版として公開した。企業がオープンウェイトモデルを同社クラウドで運用し、エージェントが書いたコードを隔離環境で実行できるようにするものだ。同社のAIインフラはすでに総額140億ドル超の複数年契約を獲得したという。

要点
- Akamai Inferenceは公開時点で、80億〜2兆8000億パラメーターのオープンウェイトモデル12種をOpenAI互換APIで提供する。
- Akamai Agent Sandboxはエージェントが生成したコードをエージェント本体と切り離して実行し、オープンソースのSpinフレームワークによるWebAssembly分離で演算・メモリー・外部通信を制限する。
- いずれもベータ版で、価格は未公表だ。同社は2027年のエヌビディア「Vera Rubin」導入に向けた準備も進めている。
Akamai Inferenceで何ができるのか
アカマイの発表資料によると、Akamai Inferenceはオープンウェイトモデルや独自モデルをマネージド型で提供する。公開時のカタログにはエヌビディアのNemotron 3 Ultra、OpenAIのgpt-oss-120b、グーグルのGemma 4に加え、検索拡張生成(RAG)向けの埋め込みモデルが並ぶ。従量課金のサーバーレス型と専用デプロイから選べる。
APIはOpenAI形式と互換性があり、既存アプリケーションを書き換えずに移行できるというのが同社の説明である。マネージドデータベースやオブジェクトストレージ、プライベート・パブリッククラウドとも接続でき、リクエストは中核リージョンと4350カ所超のエッジ拠点からなる同社ネットワーク上で処理される。
エージェントのコードをどう隔離するのか
Agent Sandboxは、エージェントを同社のサーバーレス基盤Akamai Functions上で動かし、エージェントが生成したコードを別環境で実行する。基盤となるのは、アカマイが2025年12月1日に買収を発表したファーミオン(Fermyon)のオープンソースWebAssemblyフレームワーク「Spin」だ。利用者はスナップショットとフォークに対応したマイクロVM、ポリシーで制御するコンテナ、WebAssembly分離の関数から選択できる。
同社クラウド技術担当上級副社長のジョン・アレクサンダー氏は「エージェントを運用するすべてのチームには、そのエージェントが書くコードを囲む境界が必要だ」と述べた。今後は、エージェントがどこにアクセスでき、何がエージェントにアクセスできるかを制御する機能も加える計画である。
エヌビディアBlackwell Ultra GPUも専用提供
専用GPUとしては、低遅延推論向けのエヌビディアRTX PRO 6000 Blackwell Server Editionと、モデル構築・調整向けのBlackwell Ultraクラスターをそろえた。8基構成のノード1台にはGPU1基あたり288GB、合計2.3TBのHBM3eメモリーを搭載する。このクラスターにはレート制限や共有テナントの待ち行列がないと同社は説明している。
140億ドル契約と推論への賭け
アカマイのアダム・カロン最高執行責任者(COO)兼クラウド部門ゼネラルマネジャーは「顧客は同じプラットフォームでAIを構築し、動かし、守りたいと考えている」と語った。単一顧客では、アンソロピックが9月、7年間で116億ドルをアカマイのクラウドに投じる契約を結んでいる。
今後の見通し
アカマイは正式提供の時期と価格を明らかにしていない。遅延や隔離性能をめぐる第三者による検証も、まだ出ていない。
よくある質問
Akamai Inferenceは今すぐ使えるのか。
ベータ版として利用できる。サーバーレス型のデプロイに対応し、APIはOpenAI形式に準拠する。価格は公表されていない。
コンテナでエージェントのコードを動かすのと何が違うのか。
エージェント本体と、エージェントが書いたコードを切り離して実行する点だ。WebAssembly分離、ポリシー制御のコンテナ、マイクロVMから選べ、演算やメモリー、外部通信を制限できる。
参考資料
- Akamai Launches AI Inference Service and Agent Execution Environment — Akamai(2026年10月27日)
- Akamai Technologies Announces Acquisition of Function-as-a-Service Company Fermyon — Akamai(2025年12月1日)
- Akamai expands its AI Cloud platform with dedicated inference and agent execution environments — SiliconANGLE(2026年10月27日)
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