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EPFL、AIで脳領域の同期を読む埋め込みチップ開発

スイスのEPFLは10月23日、脳の領域間の同期を機械学習で解析して認知・感情状態を分類し、刺激信号を出す埋め込み型チップ「LogSync」を発表した。消費電力は200マイクロワット未満である。

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが、脳の領域同士の同期を機械学習で読み取り、特定の認知・感情状態を検出すると刺激の信号を出す埋め込み型チップを開発した。同校が10月23日に発表した。「LogSync」と名付けられたチップは約4×2ミリで、消費電力は200マイクロワット未満である。

ポイント

  • チップ上で脳波の振動の強さと領域間の同期という2種類のバイオマーカーを抽出し、機械学習アルゴリズムが脳の状態を分類する。
  • 過去の精神医学実験で得た人の脳記録データでは、神経信号だけで認知的な集中と感情的な覚醒を区別できた。
  • 研究成果はIEEEの学術誌「Journal of Solid-State Circuits」に掲載された。米国立精神衛生研究所(NIMH)による660万スイスフランの研究助成を受けている。
脳内に留置した電極が胸の皮下にある刺激装置とリード線でつながった脳深部刺激システムの図
一般的な脳深部刺激(DBS)の構成。脳内の電極が胸部の刺激装置につながる(説明用の図で、LogSyncチップではない)。사진: Shamir R, Noecker A and McIntyre C / 위키미디어 공용(CC BY 3.0)

AI脳チップ「LogSync」の仕組み

LogSyncは脳活動を記録し、生の信号を外部のコンピューターに送らずにチップ内でネットワーク単位の特徴量を計算する。脳のリズムがどれほど強く振動しているか、離れた領域の信号がどれほど歩調を合わせているかを追跡する。

続いて機械学習の分類器がこの特徴量から人の認知・感情状態を推定する。目標の状態を検出すると、チップが刺激用のトリガー信号を生成する。

開発したのは、EPFL工学部とニューロX研究所に所属するマフサ・ショアラン氏が率いる統合ニューロテクノロジー研究室(INL)だ。論文名は「LogSync: A Low-Power Logarithmic SoC for Cross-Regional Synchrony Extraction and Adaptive Psychiatric State Classification」で、筆頭著者はダニー・アレックス氏である。

なぜ「領域間の連絡」に注目するのか

設計の前提にあるのは、ショアラン氏の言葉を借りれば「精神疾患は脳の領域間の連絡の乱れからより多く生じる」という考え方だ。領域間の同期を測ることは、この連絡をとらえるための手段である。

埋め込み機器の厳しい電力制約に収めるため、チームはアルゴリズムと回路を一体で設計した。ショアラン氏は「システム全体を協調設計している」と述べた。

実験で示されたこと

チームは過去の精神医学実験で得た人のデータ2種類を使った。一つは知的課題に取り組む間の認知的な集中、もう一つは映像を見ている間の感情的な覚醒の記録である。EPFLによると、アルゴリズムは神経記録だけで両者を見分けた。

米ミネソタ大学で行ったラットの実験では、チップが進行中の脳の振動を追跡し、あらかじめ決めた位相で刺激を引き起こした。ただしEPFLはLogSyncのチャンネル数や分類精度の数値を公表していない。

背景:常時刺激から「状態に応じた刺激」へ

NIMHによると、現在の脳深部刺激(DBS)は埋め込んだ電極を通じて特定の脳部位に電気パルスを送り、胸の上部に埋め込んだ装置が電源を担う。DBSはもともと振戦やパーキンソン病などの運動障害の治療用に開発された。

NIMHは、米食品医薬品局(FDA)が治療抵抗性の重症強迫症に対し、人道的機器適用免除(HDE)の枠組みでDBSを認めたと説明している。うつ病では2022年に「ブレークスルー・デバイス」の指定を受けたが、依然として実験的な治療と位置づけられている。

LogSyncは研究室のこれまでの成果を土台にしている。EPFLの研究リポジトリ「Infoscience」によれば、ほぼ同じチームが2025年に京都で開かれたIEEE VLSIシンポジウムで、脳の結合性抽出と精神症状分類のための32チャンネル・196マイクロワットのチップを発表している。

今後の展開

チームはこの手法を運動障害向けの適応型DBS、閉ループの非侵襲刺激、集束超音波インターフェースに応用する計画だ。あらかじめ定めたバイオマーカーではなく、生の神経記録から直接学習する機械学習手法の開発も進めており、ICML 2026で発表した自己教師あり学習モデル「RECTOR」がその一例である。

ショアラン氏は、研究室の技術の臨床応用を目指すEPFL発スタートアップ「Infera Neuro」の共同創業者でもある。

よくある質問

すぐに患者に使えるのか。 承認の発表はない。EPFLが示したのは既存の人のデータとラット実験の結果で、臨床試験ではない。

従来の脳深部刺激と何が違うのか。 従来のDBSは刺激を継続的に送る。LogSyncはチップ上で特定の脳状態を検出したときにだけ刺激を引き起こすよう設計されている。

研究はどこで発表されたのか。 IEEEの「Journal of Solid-State Circuits」に2026年9月付で掲載された。

参考資料

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チ
チョン・スン
AI Newsway · 開発者

AI Newswayの編集責任者です。AI、開発ツール、クラウド、生産性テクノロジーの記事を執筆しています。

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