OpenAI・Anthropic、LLM価格を最大8割下げた理由
OpenAIとAnthropicが7月末以降、APIの価格を最大80%引き下げた。データサイエンティストのマックス・ウルフ氏は10月25日の分析で、低価格オープンウェイトモデルの圧力を要因に挙げ、価格の再高騰は考えにくいとした。
OpenAIとAnthropicが7月末以降の約3カ月で、API向けモデルの価格を最大80%引き下げた。データサイエンティストのマックス・ウルフ(Max Woolf)氏は10月25日(現地時間)、個人ブログ「minimaxir.com」で両社の値下げを整理した分析記事を公開した。両社の公式発表と照合すると、OpenAIの最安モデルの入力単価は7月の値下げ前の10分の1となり、Anthropicの最新Opusモデルのトークン単価は前モデルより20%低い。

要点
- OpenAIは7月30日にGPT-5.6 Lunaを80%値下げし、9月22日には後継のGPT-6 Lunaを入力100万トークンあたり0.10ドル、出力0.50ドルで投入した。
- Anthropicは9月22日、Claude Opus 5.5を100万トークンあたり入力4ドル、出力20ドル、キャッシュ読み取り0.20ドルで公開した。Opus 5はそれぞれ5ドル、25ドル、0.50ドルだった。
- ウルフ氏は値下げを促した要因としてDeepSeek V4.1 Flashなど低価格のオープンウェイトモデルを挙げ、価格が再び急騰するとの見方は「幻想に近い」と記した。
OpenAI・AnthropicのAPI料金はどこまで下がったか
最初の大幅値下げは7月30日である。OpenAIはGPT-5.6 Lunaを「最も高速で手頃なモデル」と位置づけ、価格を80%下げて入力0.20ドル、出力1.20ドルとした。9月22日には後継のGPT-6 Lunaを0.10ドル、0.50ドルで公開し、GPT-5.6の半額だと説明した。
中位モデルも同じ道をたどった。割引価格で4ドル・20ドルだったGPT-5.6 Solに続き、9月22日にGPT-6 Solが2ドル・10ドルで登場した。その1週間後に出たGPT-6.1 Solは単価を据え置いたまま、キャッシュ入力だけを100万トークンあたり0.10ドルへ半減させた。
Anthropicはキャッシュと上位モデルに力点を置いた。9月に公開したClaude Fable 5.1は入力10ドル、出力50ドルを維持したが、「キャッシュ読み取りは75%安くなり、100万トークンあたり0.25ドル」になった。Opus 5.5はすべての単価を下げ、同社は「一般的な作業でOpus 5より40%安い」としている。
| 時期 | モデル | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|---|
| 7月30日 | GPT-5.6 Luna | 値下げ前の定価 | 0.20ドル / 1.20ドル |
| 9月 | Claude Fable 5.1 | 10ドル / 50ドル(Fable 5) | 10ドル / 50ドル / 0.25ドル |
| 9月22日 | GPT-6 Sol(GPT-5.6 Sol割引価格比) | 4ドル / 20ドル | 2ドル / 10ドル |
| 9月22日 | GPT-6 Luna(GPT-5.6 Luna比) | 0.20ドル / 1.20ドル | 0.10ドル / 0.50ドル |
| 9月22日 | Claude Opus 5.5(Opus 5比) | 5ドル / 25ドル / 0.50ドル | 4ドル / 20ドル / 0.20ドル |
| 9月29日 | GPT-6.1 Sol(GPT-6 Sol比) | キャッシュ入力0.20ドル | キャッシュ入力0.10ドル |
AIコーディングエージェントのコストはキャッシュ単価で決まる
ウルフ氏が注目するのは定価よりもキャッシュトークンだ。同氏は「コーディングにエージェントを使う場合、キャッシュ読み取りのコストがトークン支出全体の大半(96〜99%)を占める」と書いた。キャッシュ単価が下がれば、開発者の請求額もほぼ同じ割合で下がることになる。
Fable 5.1のキャッシュ75%値下げやGPT-6.1 Solのキャッシュ入力半額化は、定価が変わらないように見えても、エージェントを多用するチームにとってはより大きな意味を持つ。
背景:オープンウェイトモデルが価格の下限を決める
ウルフ氏は今回の値下げを通常のものではないとみる。同氏は「何らかの外部要因がなければ、誰も価格を80%も下げない」と書いた。名指ししたのはDeepSeekだ。同氏によると、V4.1 Flash 1017モデルは入力0.15ドル、出力0.60ドル、キャッシュ読み取り0.003ドルで、OpenRouter上では29の異なる事業者がこのモデルを提供している。
同じオープンウェイトモデルをめぐってこれだけ多くの事業者が競えば、クローズドモデルの事業者が同等の性能に対して取れる価格にも上限が生じる。ウルフ氏はまた、両社が株式上場を準備していると報じられ、投資家が赤字に目を光らせる時期だけに、値下げのタイミングは異例だと指摘した。
今後の見通し:AIのAPI料金は再び上がるのか
ウルフ氏は、現在の価格は補助金頼みでいずれ急騰するという見方に反論する。「トークン価格が突然上がるという考えは幻想に近い」とし、競争によって価格はトークン1つを処理する限界費用に近づいていくと主張した。
企業の側は、モデルの定価が数週間で変わり、そのたびに新しいバージョン番号が付くことを前提にする必要がある。旧モデルを使うチームには新しい階層の方が安い場合もあるが、トークン単価が下がってもすべての作業で請求額が減るとは限らない。乗り換え前に性能とタスクあたりのコストを確かめるべきだ。
よくある質問
OpenAIはGPT-5.6 Lunaをどれだけ値下げしたのか。
7月30日から80%値下げし、入力100万トークンあたり0.20ドル、出力1.20ドルとなった。後継のGPT-6 Lunaは0.10ドル、0.50ドルである。
Claude Opus 5.5のAPI料金はいくらか。
100万トークンあたり入力4ドル、出力20ドル、キャッシュ読み取り0.20ドルだ。Opus 5は5ドル、25ドル、0.50ドルだった。
AIのトークン価格が再び上がる可能性はあるか。
断定はできない。ウルフ氏はオープンウェイトモデルとの競争により急騰の可能性は低いとみるが、OpenAIとAnthropicはいずれも、現在公表している価格より先の料金方針を約束していない。
参考資料
- OpenAI and Anthropic cut their LLM prices by up to 80% within a few months. Why? — マックス・ウルフ、minimaxir.com(2026年10月25日)
- Advancing the price-performance frontier with GPT-5.6 — OpenAI(2026年7月30日)
- Introducing GPT-6 Sol and Luna — OpenAI(2026年9月22日)
- Claude Opus 5.5 — Anthropic(2026年9月22日)
- Claude Fable and Mythos 5.1 — Anthropic(2026年9月)
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