アンソロピック、ナスダック「ANT」上場申請 売上高14倍
アンソロピックは10月26日、SECにフォームS-1を公開提出し、ナスダックに「ANT」で上場を申請した。2026年上半期の売上高は162億9000万ドルと前年同期の約14倍で、転換社債の評価損724億ドルにより純損失は807億ドルとなった。
米Anthropic(アンソロピック)は2026年10月26日(現地時間)、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の登録届出書「フォームS-1」を公開提出し、ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットへティッカー「ANT」で上場を申請した。届出書によると、2026年上半期の売上高は162億9000万ドルで、前年同期の11億6000万ドルの約14倍に達した。

要点
- 2026年上半期(6月30日終了)の売上高は162億9000万ドルで、2025年通期の45億9000万ドルの3倍を超えた。
- 転換社債の評価損724億ドルにより上半期の純損失は807億ドルとなったが、営業損失は6億9300万ドルにとどまった。
- 5種類の株式構造により、取締役会の過半数は長期利益信託(LTBT)が選び、議決権の50.1%は創業者法人が握る。
アンソロピックのS-1、半年で前年の3倍を売り上げ
今回の届出書は、同社が6月に草案を非公開で提出して以来、初めて公開された監査済みの財務情報である。2025年通期の売上高は45億9000万ドルで、2026年は上半期だけでその3倍以上を稼いだ計算だ。
大口顧客の層も厚い。9月30日時点で、直近12カ月の売上高が100万ドル以上の顧客は1900社超、1000万ドル以上は約250社に上る。
一方で同社は「売上高は主に従量課金型で、その多くは長期契約の対象ではない」と記した。大口顧客が利用量を急に減らし得るということである。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 2026年上半期 売上高 | 162億9000万ドル |
| 2025年上半期 売上高 | 11億6000万ドル |
| 2025年通期 売上高 | 45億9000万ドル |
| 2026年上半期 営業損失 | 6億9300万ドル |
| 2026年上半期 調整後営業利益(非GAAP) | 16億2000万ドル(利益率10%) |
| 2026年上半期 純損失 | 807億ドル |
| 現金・短期投資(6月30日) | 1317億ドル |
純損失807億ドルの大半は会計上の損失
巨額の純損失は、現金の流出を伴わない評価損が中心である。届出書は転換社債、デリバティブ負債、SAFEの公正価値の変動として724億ドルを費用計上し、その理由を「企業価値の上昇」と説明した。
本業は黒字に近づいている。米国会計基準(GAAP)の営業利益率はマイナス4%だったが、株式報酬費用などを除いた調整後営業利益は16億2000万ドルだった。2025年の同指標は48億5000万ドルの赤字である。6月末の現金同等物は1124億ドル、短期投資は193億ドルだった。
株式の種類と長期利益信託
一般投資家が購入するのは1株1議決権のクラスA株だ。長期利益信託が保有するクラスT株は、取締役会の過半数を占めるクラスT取締役を選任するが、配当などの経済的権利はない。
信託はAI安全性、国家安全保障、公共政策、社会的企業の専門家で利害関係のない受託者5人で構成され、日常の経営や戦略に関する決定権は持たないと届出書は記す。これとは別に、創業者法人(Founder LLC)が保有するクラスF株は経済的権利を持たずに議決権の50.1%を握る。クラスN株は無議決権、クラスE株は共同創業者以外の従業員に一部事項の議決権を与える。
非公開提出からナスダック上場申請まで
米公共ラジオNPRによると、同社は6月の非公開提出時に「SECの審査が終われば上場できる選択肢を得た」と述べた。その1週間前に発表した資金調達で、企業価値は9650億ドルと評価されていた。
届出書の表紙には引受金融機関22社が並び、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが先頭に記載された。同日、ナスダック総合指数は0.82%、S&P500種株価指数は0.70%上昇し、米経済メディアTheStreetは上昇の一因に今回の届出を挙げた。
上場時期の見通し
届出書では公開価格の仮条件と売り出し株数が空欄のままである。通常は訂正届出書で埋めた後、機関投資家向け説明会(ロードショー)に入る。米ヤフー・ファイナンスは、同社が「今秋後半」の上場を目指し、1兆5000億〜2兆ドルの企業価値が取り沙汰されていると報じたが、アンソロピックが確認した数字ではない。
よくある質問
アンソロピックのティッカーは?
ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットに「ANT」で上場を申請した。
アンソロピックは黒字か?
会計基準上は赤字である。上半期の営業損失は6億9300万ドル、純損失は807億ドルだった。ただし調整後営業利益は16億2000万ドルである。
取引開始はいつか?
日程は決まっていない。仮条件や売り出し規模もまだ提出されていない。
参考資料
- Form S-1 Registration Statement, Anthropic PBC — 米SEC EDGAR(2026年10月26日)
- AI giant Anthropic prepares to sell stock to the public; files preliminary IPO paperwork — NPR(2026年6月1日)
- Anthropic IPO live updates: S-1 filing discloses $16.3B in first-half revenue, plans to list as 'ANT' — Yahoo Finance(2026年10月26日)
- Stock Market Today (Oct. 26, 2026) — TheStreet(2026年10月26日)
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