中国DEEP Robotics、ロボット頭脳の研究5件公表 成功率65%
中国のDEEP Roboticsは10月24日、身体性AI基盤「DEEPRobotics-Brain」を支える研究5件(ワールドモデル、VLA、強化学習、ナビゲーションエージェント、屋外ベンチマーク)を発表した。強化学習手法でLYNX M20の実環境ナビゲーション成功率が25%から65%に上がったとするが、企業配信のプレスリリースによる自社数値で、第三者の検証は経ていない。
中国の四足歩行ロボットメーカー、DEEP Robotics(ディープロボティクス)は10月24日、同社の身体性AI(エンボディドAI)基盤「DEEPRobotics-Brain」を支える5件の研究成果を発表した。このうち強化学習手法を適用したところ、車輪付き四足ロボット「LYNX M20」の実環境でのナビゲーション成功率が25%から65%に向上したという。

要点
- ワールドモデル、視覚・言語・行動(VLA)モデル、強化学習手法、ナビゲーションエージェント、実環境ベンチマークの5件をまとめて公表した。
- 数値の大半は同社配信のプレスリリースによる自社測定値である。コードやデータの公開、ライセンスには触れていない。
- 変化する環境でのナビゲーション研究1件は、大学の共著者とともにarXivで論文が公開されている。
DEEP Roboticsが発表した5つの研究
リリースはGlobeNewswireを通じ、米ボストン発で配信された。浙江大学、清華大学、MIT、UIUC、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)、香港科技大学などが協力機関として挙がったが、経営陣や研究者の実名コメントはない。
| 研究 | 内容 | 主な数値 |
|---|---|---|
| DR-WM-1.0 | 摩擦・粗さ・剛性を行動予測に組み込むワールドモデル | 画像・マスク258万組、実機映像10万本超 |
| DR-VLA-2.0 | 人の一人称視点映像で事前学習した基盤モデル | 自社評価セットで方位誤差14.6%減 |
| DR-APO | 拡散・フローマッチング方策向けの強化学習手法 | 実環境の成功率25%→65% |
| DR-Agent | 物体の移動先を推定し続けるナビゲーションエージェント | タスク80万3680件のベンチマーク |
| DR-Benchmark | 屋外ロボットデータセット「LynxScenes」 | 走行833.6時間・3294.7km |
ロボット向けワールドモデルとVLAの仕組み
DR-WM-1.0は、ロボットと地面の接触をモデル化し、計画した動作が見た目にもっともらしいかではなく、物理的に実行可能かを判断する設計だ。DR-VLA-2.0は、ウェブから選別した一人称映像1万時間と遠隔操作ロボット映像2000本からなる「EgoLynx」でまず学習し、その後ロボットの実演データで適応する。
同社によると、片腕あたり13個の「モーションアトム」で動きを表す方式は、未知の配置での双腕作業で正規化タスク進捗率87.8%を記録した。力覚フィードバックを加えると、引き出しとプラグの作業で78.5%、花瓶拭きで75.2%だった。
変化する環境でのロボットナビゲーション
DR-APOによる追加学習で、シミュレーション上のナビゲーション成功率は70.33%から89.55%に上がったと同社は説明する。DR-Agentの土台となるEvolvingNavは、浙江大学、UCSD、DEEP Robotics、香港中文大学の研究者が9月30日に初めて投稿したarXiv論文で示された。論文は独自ベンチマーク「EvoWorld-Bench」で初回探索成功率61.32%を達成し、比較対象のDynaMem(45.33%)を上回ったと報告している。
LynxScenesにはナビゲーション映像約10万本と注釈付きフレーム300万枚が含まれ、25モデルの評価に用いたという。
背景:上場を目指す杭州のロボット企業
DEEP Roboticsは2017年、浙江大学の朱秋国教授と李超氏が創業した。中国メディアの第一財経(Yicai Global)によると、上海証券取引所の科創板(STAR Market)への上場申請が5月に受理された。2025年の売上高は3億3700万元、純利益は2870万元で初の黒字となった。重さ33kgのLYNX M20は2025年4月に発売された。
今後の焦点
同社は開発者センターで論文のプレプリントを公開したとしている。コードやデータの公開、第三者による検証が出るまでは、今回の成果は主に自社ベンチマークでの同社測定値と受け止める必要がある。
よくある質問
DEEP Roboticsのモデルはオープンソースか。
リリースにはオープンソース化の記載も、ライセンス条件も示されていない。
実環境試験にはどのロボットを使ったのか。
車輪付き四足ロボットのLYNX M20である。DR-APOの試験とLynxScenesのデータ収集の両方に使われた。
結果は第三者に検証されたのか。
されていない。リリースは企業提供のコンテンツで、配信元は内容を検証していないと明記している。
参考資料
- DEEP Robotics Unveils Five Research Advances in Embodied AI — DEEP Robotics(GlobeNewswire配信、2026年10月24日)
- Beyond the Remembered World: Predictive 4D Belief for Persistent Navigation in Evolving Worlds — arXiv(2026年9月30日)
- Embodied AI Startup Deep Robotics Moves Closer to Shanghai Listing — Yicai Global(2026年5月19日)
- DEEP Robotics Debuts LYNX M20, Sets Standard for Industry-grade Legged Robotics — Automation.com(2025年4月)
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