元GitHub CEOのEntire、AIエージェント向けGit基盤を公開
GitHubの元CEO、トーマス・ドムケ氏が創業したEntireは10月26日、AIコーディングエージェント向けのGit互換ホスティングを公開した。プルリクエストを評価スコアに置き換え、自社計測で毎秒418回(GitHubは4.7回)のプッシュをうたう。
GitHub(ギットハブ)の元CEO、トーマス・ドムケ氏が創業したスタートアップのEntire(エンタイア)は現地時間10月26日、AIコーディングエージェント向けのGit互換コードホスティングサービスを公開した。プルリクエストの代わりにエージェントが採点する「評価(eval)」でコードを審査し、プッシュ速度はGitHubの最大89倍だと同社は主張している。

ポイント
- Entireの「Trails」は、差分中心のプルリクエストを、プッシュのたびにエージェントが算出する評価スコアの画面に置き換えた。
- 自社ベンチマークで毎秒418回のプッシュを記録したとしている。CursorのOriginは65回、GitHubは4.7回だった。
- すべての開発者がすぐに利用できるが、発表記事に料金の記載はない。
エージェント向けGitホスティング「Entire」とは
共同創業者兼CEOのドムケ氏は発表記事で、同製品を「エージェントと人間の協働のために作られた初のGitフォージ」と位置付けた。レビュー機能のTrails、分散型Gitホスティング、「Continuous Memory(継続メモリー)」の3つが柱である。
発表記事は「ソース管理は限界点に達している」と記した。ドムケ氏は英IT誌ITProに対し、エージェントがいまやコードの「ほぼすべて」を書き、「かつてなく速く、複雑になっている」と語った。
プルリクエストに代わる「評価スコア」レビュー
評価項目ごとに独立したエージェントが隔離されたクラウドのサンドボックスで動き、スコアと根拠を返す。同社が社内で使う例は、セキュリティ(Security)、低品質コード(Slop)、人間のレビューが必要(Human Review Required)などだ。
評価エージェントは、DaytonaとE2Bのサンドボックス上でClaude CodeとCodexを使って実行される。リポジトリごとの「ゲート」を有効にすれば、マージ前に人間の承認とCIの通過を必須にできる。
ドムケ氏はITProに「すべての評価を満たせば、コード自体を見なくてもマージできる」と述べた。BuildkiteとDepotがローンチ時のCIパートナーである。
GitHubの89倍速という主張の中身
Entireは、分散オブジェクトストアとトランザクション型のref(参照)データベースを持つGitサーバーを新たに構築したと説明する。下表は独立した検証ではなく、同社の発表値である。
| サービス | 毎秒プッシュ |
|---|---|
| Entire | 418 |
| Cursor Origin | 65 |
| Pierre | 15 |
| GitLab | 10 |
| GitHub | 4.7 |
計測ツール「ForgeMark」はMITライセンスで公開されている。ただし結果ファイルは掲載されておらず、現時点では生データで確かめられない。
ホスティング地域は米国、EU、オーストラリア、インドだ。GitHubのリポジトリをミラーし、GitHubを正本のまま使うこともできる。GitHubの障害時には、エージェントが「entire/unmirrored/」ブランチにプッシュを続けられる。
継続メモリーとオープンソースツール
エージェントのセッションとプロンプトはGitリポジトリに同期され、コーディングエージェントが検索できる。発表記事は「エージェントに必要な記憶はリポジトリだけであるべきだ」と記した。
これを支えるのが、ローカル優先のオープンソースツール2つである。entire-graphはtree-sitterでコードベースの地図を作り、ネットワーク通信やモデル呼び出しを行わない。同社の検証ではトークンを最大71%節約したという。
背景:「GitHub代替」をめぐる競争
ドムケ氏は2025年8月、GitHubのCEOを退任すると表明した。Entireは2026年2月10日、Felicis主導、Madronaやマイクロソフト傘下のM12などの参加で、評価額3億ドル、6000万ドルのシード資金を調達した。最初の製品「Checkpoints」は、Gitのコミットごとにエージェントの文脈を保存するオープンソースのCLIだった。
競合も現れている。Cursorは8月17日、Gitベースのホスティングサービス「Origin」を発表した。GitHubとの同期や、Buildkite・Depotとの連携を備える。
今後の焦点
Entireは料金やプランを公表していない。第三者がForgeMarkを実行しても速度差が再現されるか、セキュリティが重要なコードで評価のみによるマージが通用するかが、開発チームの注目点となる。
よくある質問
EntireはGitHubの代わりになるのか
なり得る。GitHubを正本としてミラーする使い方のほか、プラグインや手動のfetch・pushで完全に移行することもできる。
人間のレビューなしでAIがマージするのか
すべての評価を通過すれば可能だ。ただし、リポジトリ管理者がゲートを有効にすれば、マージ前に人間の承認とCIの通過が必要になる。
参考資料
- The Git Forge for Agent-Human Collaboration — Entire(2026年10月26日)
- entireio/forgemark — GitHub
- Former GitHub CEO Thomas Dohmke Raises $60 Million Seed Round — Entire(2026年2月10日)
- Former GitHub CEO Thomas Dohmke's startup just unveiled a GitHub alternative — ITPro(2026年10月26日)
- Cursor launches Origin code hosting service to compete with GitHub — SiliconANGLE(2026年8月17日)
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