レボリュート、GLM自社運用でAIコーディング費を10分の1に
英デジタル銀行レボリュートが、Z.aiのオープンウェイトモデルGLMをB200 GPU 56基で自社運用し、AIコーディングの請求額をアンソロピック・OpenAI利用時の10分の1に抑えた。運用・インフラ責任者のデービッド・アビトボル氏がAI Engineer NYC 2026で明らかにした。
英国のデジタル銀行レボリュート(Revolut)が、オープンウェイトモデル「GLM」を自社のGPUで運用し、AIコーディングの費用をアンソロピックとOpenAIに支払っていた額の10分の1に抑えた。同社の運用・インフラ責任者デービッド・アビトボル(David Abitbol)氏が10月13日、カンファレンス「AI Engineer NYC 2026」で明らかにし、英IT媒体ザ・レジスターが11月3日に報じた。
顧客数8000万人、45市場で事業を展開するとしているレボリュートは現在、Z.ai(智譜AI)の「GLM 5.3」を米エヌビディアのB200 GPU 56基で動かし、約2000人のエンジニアに提供している。アビトボル氏によると、混合単価は100万トークン当たり30セントである。

要点
- レボリュートはB200 56基でGLM 5.3を自社運用し、約2000人のエンジニアに提供。AIコーディングの請求額は以前のアンソロピック・OpenAI向け支出の10分の1になった。
- 同じ56基のままチューニングだけで、毎秒の処理リクエスト数を約3件から7件超に増やし、最初のトークンが出るまでの時間を14.26秒から1.68秒に短縮した。
- コーディング時間で60%、リードタイムで70%の改善を報告したが、モデル変更の効果だけを切り出した数字ではないと発表側も認めている。
GLMの自社ホスティングに至った経緯
講演によると、レボリュートはまずGeminiを、続いて厳しい予算上限を設けたClaude Codeを導入し、4月ごろからGLM 5.1の自社ホスティングに切り替えた。Z.aiのHugging FaceページはGLM-5.1をパラメーター数7540億、MITライセンスと記載している。ザ・レジスターは、1トークン当たりのアクティブパラメーターが約400億だと伝えた。
きっかけはコストだった。ザ・レジスターによれば、アビトボル氏は「AIのコストには非常に懐疑的だった。エンジニアが月に1000ドル、1万ドルを使っても、投資対効果はあまりなかった」と語った。請求が定額になったことで、エンジニアはデバッグなどにもためらわずトークンを使うようになったという。
応答速度の目標とGPUチューニング
目標は最初のトークンまで3秒以内、生成速度は毎秒約200トークンである。アビトボル氏は「5秒を超えた途端、私のSlackの受信箱があふれ始める」と述べた。利用が減る午後5時以降は、毎秒800トークン近い速度が出る。
4月から8月にかけて、同じ56基で毎秒のリクエスト処理数は約3件から7件超に増え、最初のトークンまでの遅延は14.26秒から1.68秒に縮んだ。同氏はBlackwell世代のチップでFP4量子化を使い、キャッシュヒット率を90%以上に保つよう助言した。
巨大なコンテキストにも否定的だ。「長いコンテキストは詐欺だ」と述べ、コーディングには約25万6000トークンあれば十分だとした。
生産性の数字をどう読むか
レボリュートは、GLM 5.1導入期のエンジニアのサンプルで、コーディング時間60%、リードタイム70%の改善を測定した。先にGeminiを導入した際はそれぞれ20%、10%だった。ただしカンファレンスのページの要約は、この社内比較がモデル変更以外の要因を切り分けていないと注記している。
EUの規制を受ける銀行であるため、コーディングエージェントは承認ルール付きのサンドボックスで動く。アビトボル氏が挙げた例は「grepは許可するがgradleは許可しない」というものだ。データは既定で保持しない。
オープンウェイト普及への意味
規制業種の大口ユーザーがオープンウェイトへ移った事例である。ザ・レジスターは、中国製モデルのプライバシー懸念は主に中国で運用されるAPIを使う場合に当てはまり、重みを自社で運用する場合とは異なると指摘した。
今後の見通し
アビトボル氏は、オープンソースは今やレボリュートの優先事項であり、経済性でも有利だと述べた。焦点は、固定したハードウェアのままモデルを更新し利用者を増やしても、現在の生産性の数字を維持できるかどうかである。
よくある質問
レボリュートはAIコーディング費用をどれだけ削減したのか。 アビトボル氏によると、請求額はアンソロピックとOpenAIに支払っていた額の10分の1で、約90%の削減に当たる。
どのような機材を使っているのか。 エヌビディアのB200 GPU 56基で、約2000人のエンジニアにGLM 5.3を提供している。
参考資料
- Shipping like a startup, regulated like a bank | AI Engineer NYC 2026 — AI Engineer(2026年10月13日)
- zai-org/GLM-5.1 · Hugging Face — Z.ai
- British fintech Revolut slashes AI coding costs 10x by cutting out Claude and going self-hosted — The Register(2026年11月3日)
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