リキッドAI、端末で動く小型モデル「LFM3」6種を公開
リキッドAIは10月27日、スマホやノートPC、ロボットで動くオープンウェイトモデル「LFM3」6種を公開した。17億3000万パラメーターのテキストモデルはツール呼び出し評価でQwen3.5 9Bを上回ったが、コーディングでは及ばなかったと同社は発表した。
米AIスタートアップのリキッドAI(Liquid AI)は10月27日(現地時間)、スマートフォンやノートPC、ロボット上で動くオープンウェイトモデル群「LFM3」を公開した。パラメーター数約20億規模の6モデルで、テキスト、画像、音声、判定の各処理を担う。最小のテキストモデルは4ビット精度で約1GBのメモリーに収まるという。

ポイント
- 6モデルは共通の基盤モデル「LFM3-1.7B-Base」を共有する。テキスト、ビジョン、オーディオ、オムニの各モデルと判定用モデル2種である。
- 17億3000万パラメーターのテキストモデルは、ツール呼び出しやWebエージェントの評価でQwen3.5 9Bを上回ったが、コーディングや科学推論では及ばなかった(同社発表)。
- ライセンス上、無償で商用利用できるのは年間売上高1000万ドル未満の企業に限られる。
リキッドAI「LFM3」の構成
中核はテキストモデル「LFM3-1.7B」だ。コンテキスト長は25万6000トークン、語彙は12万8000トークンで、16言語に対応する。Hugging Faceのモデルカードによると、事前学習には22兆トークンを使った。
ビジョンモデル「LFM3-VL-2B」(19億パラメーター)は、同社のビジョンモデルとして初めて動画入力に対応した。「LFM3-Audio-2B」は18言語で音声の入出力を扱い、「LFM3-Omni-2B」(22億パラメーター)は画像、音声、言語をまとめて処理する。判定モデル「d1-2B」と「d1-Omni-2B」は、文章ではなく「はい/いいえ」やスコア、バウンディングボックスといった決まった形式で答えを返す。
畳み込み層とアテンション層を組み合わせた24層構造により、メモリー消費が減るという。12万8000トークンのコンテキストでのKVキャッシュは1.6GBと、Qwen3.5-4B(4.3GB)より小さい。
LFM3の性能 Qwen3.5との比較
以下のスコアはいずれもリキッドAIの発表値で、第三者による検証は経ていない。
| 評価 | LFM3-1.7B | Qwen3.5 9B |
|---|---|---|
| BFCL V4(ツール呼び出し) | 71.39 | 62.83 |
| WebArena-Verified | 38.42 | 28.94 |
| SWE-bench Verified | 43.40 | 51.20 |
| GPQA Diamond | 63.37 | 80.40 |
| 平均 | 49.37 | 47.24 |
ビジョンモデルは62種の評価の平均で71.4となり、旧モデルLFM2.5-VL-3B(57.6)から大きく伸び、同社が示すGemma 4 12B(71.7)に迫った。
顧客企業の試験結果もある。Mac向けソフト開発のMacPawでAIエンジニアを務めるイワン・ペトルハ氏は、macOSのエージェント作業65件でLFM3-1.7Bが64%を完了し、Qwen3.5-2B(48%)を上回ったと明らかにした。
対応機器と無償で使える企業
リキッドAIが挙げる動作対象は、サムスン電子のGalaxy S26 UltraやOnePlus 15から、Raspberry Pi 5、アップルのM4 Max、AMDのRyzen AI搭載ノートPC、クアルコムのHexagon NPU、ロボット向けのエヌビディアJetson AGX Orinまで幅広い。協業企業にはAMD、インテル、エヌビディア、クアルコムなどが名を連ね、メルセデス・ベンツとShopifyが公開前の試験に参加した。
クアルコム・テクノロジーズのビネシュ・スクマール副社長は発表文で「次世代のAIは、よりマルチモーダルで、パーソナライズされ、プライベートなものになる」と述べた。
大企業にとってはライセンスが壁となる。同社の文書によると、年間売上高1000万ドル未満の企業は無償で商用利用できるが、1000万ドル以上の企業は別途商用ライセンスが必要だ。
端末内で動く小型モデルが注目される理由
モデルを端末内で動かせば、データは外部に出ず、リクエストごとのクラウド費用もかからない。ブラウザーや半導体の各社がローカルAIを推進する背景である。一方で性能には限界がある。LFM3-1.7Bのモデルカードは「サイズが小さいため、エージェント型コーディングや複雑な多段階推論には推奨しない」と記している。
リキッドAIは、このモデル群を特定業務向けに微調整する土台として打ち出す。
今後の見通し
重み、微調整用ノートブック、APIはすでに利用でき、llama.cpp、MLX、vLLMにも対応する。第三者による検証結果と、大企業が商用ライセンスにどこまで応じるかが、小型モデル戦略の行方を左右しそうだ。
よくある質問
LFM3は無料で使えるのか。
重みは無料でダウンロードできる。商用利用が無償なのは年間売上高1000万ドル未満の企業のみで、それ以上は商用ライセンスが必要である。
LFM3-1.7Bに必要なメモリーは。
リキッドAIによると、4ビット精度で約1GBである。
コーディングエージェントに使えるか。
推奨されていない。モデルカードは、エージェント型コーディングや複雑な多段階推論には推奨しないとしている。
参考資料
- Introducing LFM3: Every Modality for Specialized Intelligence — Liquid AI(2026年10月27日)
- LiquidAI/LFM3-1.7B model card — Hugging Face
- Model license — Liquid AI ドキュメント
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