メタの広告AI「アンドロメダ」、毎秒10億件を評価 24年版の100倍
米メタは10月28日、広告候補を選ぶシステム「アンドロメダ」の新版を公表した。毎秒10億件超の広告を評価し、処理能力は2024年版の100倍、推論演算量は約300分の1に減った。2025年以降、フェイスブックのコンバージョンが2.4%増えたとしている。
米メタは10月28日(現地時間)、フェイスブックやインスタグラムの利用者に表示する広告の候補を選ぶシステム「アンドロメダ(Andromeda)」の新版を公表した。本番環境で毎秒10億件超の広告を評価しており、処理能力は2024年版の100倍に達したという。メタのエンジニア12人が同社エンジニアリングブログで仕組みと成果を説明した。
ポイント
- アンドロメダは配信対象となる全広告を毎秒10億件超のペースで評価する。2024年版の100倍である。
- 新モデルの推論演算量(FLOPs)は2024年版の約300分の1、ネットワーク通信量も約100分の1に減った。
- メタは、アンドロメダが2025年以降、フェイスブックのコンバージョンを2.4%押し上げたとしている。

メタのアンドロメダとは何をする仕組みか
アンドロメダは、メタの広告配信パイプラインの第1段階である「検索(リトリーバル)」を担う。膨大な配信可能広告の中から候補を絞り込み、その後により重いランキングモデルが詳しく順位付けする。ここで漏れた広告は、ランキングの段階に進むことすらできない。
候補の母数は増え続けている。メタのエンジニアによると、生成AIの広告制作ツールにより、広告主は数億件の新しい広告を作った。2024年版はGPU1枚あたり毎秒数千万件を評価していたが、現在は1枚あたり数十億件が求められているという。
毎秒10億件をどう実現したか
メタは大規模言語モデルで使われる混合エキスパート(MoE)の構造を広告検索に取り入れた。単一だったユーザーモデルを、広告への反応履歴や言語モデル由来の特徴量など、異なるシグナルを使う複数の「ユーザータワー」に分けた。ゲーティングネットワークが、広告候補ごとに最も関連の深いエキスパートへ振り分ける。
より大きな変化はシステム設計にある。演算量が大きく減ったことで、メタは埋め込みの取得、相互作用の計算、スコア算出を一つのGPUカーネルに統合し、中間データが低速なメモリを往復しないようにした。このカーネル単体で、エヌビディアのGH200チップ1基あたり毎秒100億件超を処理する。
ターゲティング条件の照合、スコア計算、上位候補の選別も同じGPUサーバーにまとめた。長い候補リストをネットワークでやり取りする代わりに、短いクエリを送って最終結果だけを受け取る方式である。エンジニアらは「最大の成果は、モデル、システム、ハードウェアを一つの統合スタックとして設計することから生まれる」と記した。
エヌビディアとの協業
2026年初め、エヌビディアが最適化したGPUカーネルを提供し、メタがパイプライン全体を統合・計測した。ゲーティングネットワークは毎秒24億件から100億件超へと5.3倍に高速化し、メモリ帯域のピークの約85%に達した。8ビット整数(INT8)演算は16ビット比で最大2倍の上積みとなり、精度は同等だったという。ブログは「追加されたモデルの複雑さは、Tensorコアのハードウェア上では事実上タダだ」と表現している。
背景:AIこそがメタの広告事業
メタは2024年12月のブログでアンドロメダを初めて紹介し、モデル容量の1万倍拡大、再現率6%向上、一部区分での広告品質8%向上を挙げた。当時のシステムはエヌビディアのGrace Hopper Superchipとメタ独自チップMTIAで動いていた。
かかっている金額も大きい。メタの四半期報告書(10-Q)によると、2026年9月30日までの3カ月間の広告収入は630億6000万ドルで、前年同期の500億8000万ドルから約26%増えた。総売上高646億ドルのほぼすべてを広告が占める。この規模では、コンバージョン2.4%の改善も広告主の収益に小さくない差を生む。ただし、増収のうちアンドロメダの寄与がどれほどかは明らかにしていない。
今後の見通し
メタはこの取り組みをエヌビディアのGrace Blackwellプラットフォームに広げており、アンドロメダのような処理で重要となるCPUとGPUの演算比率に焦点を当てているという。パイプライン全体は、GPUサーバー1台でベンチマーク上、現在の本番処理量の数倍を記録しており、まだ余力があるとしている。実際の導入時期は示していない。
よくある質問
メタのアンドロメダとは何か。
メタの広告検索用の機械学習システムである。別のランキングモデルが最終的に表示する広告を決める前に、候補となる広告を選ぶ第1段階を担う。
広告主が変更すべき設定はあるのか。
ブログは社内インフラの改良を説明したもので、広告主向けの新しい設定には触れていない。メタはより精度の高いマッチングとコンバージョン増加を効果として挙げている。
どのチップで動いているのか。
ブログの数値はエヌビディアのGH200で計測された。メタはGrace Blackwellへの展開を進めているとしている。
参考資料
- Meta Andromeda: Powering the Next Generation of Ads Retrieval Through Model-System Co-Design — Engineering at Meta(2026年10月28日)
- Meta Andromeda: Supercharging Advantage+ automation with the next-gen personalized ads retrieval engine — Engineering at Meta(2024年12月2日)
- Meta Platforms, Inc. Form 10-Q(2026年9月30日終了四半期) — 米証券取引委員会(SEC)
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